Interview | ディテールを語る

作品「甲府・昭和第一モデルハウス」

眼前に広がる美しい眺望と数々の仕掛けが生み出す、「四季の楽しみと出会える家」。

技術商品開発部 デザインチーム 遠藤英雄

2階リビングにすることで、自然の豊かさを存分に感じられる暮らしを設計

山梨県昭和町に2018年11月3日にリニューアルオープンを果たした「昭和第一展示場」モデルハウスは、黒川モデルハウスと同じく、建築士である遠藤英雄氏が設計を手掛けたものだ。コンセプトは「四季の楽しみと出会える家」。深い軒と庇、風がやさしく通り抜ける大きな開口、そして四季を身近に感じられるテラスリビング…。室内には国産ナラ材を中心とした素材感あふれる演出を施した、自然の豊かさに包まれる住まいとなっている。
「都市部に建てる家は、どうしても敷地条件に制約があり、1階には十分な陽当たりが望めないことも多々あります。また眺望の良さや風通しなどもしかりです。そこでリビングを2階に持ち上げ、自然の恵みや四季の移ろいを存分に享受できる住まいとなるように計画しました。それと同時に共働き世代を想定し、便利で機能的な生活動線も十分に考慮した設計を施しています」と遠藤氏は語る。

昭和第一モデルハウスには、自然を暮らしに採り入れるための工夫が随所に込められている。1階には同社の「ビッグフレーム構法」を用いた開放的なピロティが設けられ、ガレージはもちろん、アウトドアリビングとしての活用も提案されている。また、2階は広々としたLDKをコーナーサッシによる抜群の景観で抱き、窓の外にはフラワーボックスを展開することで、四季折々の美しさが感じられる空間設計となっているのだ。

「窓際には高さ40㎝の木質感のあるベンチを設えて、窓の外の景色をより身近なものとして楽しめる工夫を添えました。サッシをFIXにしないことでフラワーボックスの手入れはもちろん、心地よい通風も確保しています。また床には味わいのある国産ナラ材を、一部の壁にはブラスト加工により大谷石のような風合いを生みだすタイルを張ることで、ナチュラルで落ち着きのある空間デザインに仕上げています」。

ふと視線を移したときに広がる感動の設計と機能的な動線の融合

黒川モデルハウスと同様、フラットキャノピーを用いた水平ラインが美しい佇まい。三角屋根ではあるものの勾配がすこぶる緩やかなため、下から眺めると2本のラインが対となって見える。その2本のラインのうち屋根側は、外観にアクセントを加え、バルコニーの目隠しとなっている壁から少しだけ距離を置き、一方のラインは壁の中に静かに消えていく仕上げにすることで、住まいに軽やかさ、浮遊感を誕生させた上質な佇まいとなっている。

「1階はビッグフレーム構法の特徴を生かしたキャンティレバー(※1)を採用していることもあり、浮遊感がより増していると思います。バルコニーのサイドはルーバーを採用。通風とプライバシー確保の両立を図っています」と、遠藤氏は外観フォルムのデザイン・機能性について解説してくれた。

「動線の点でいえば、家事効率がよくなるようにこだわりました。洗面・ランドリースペースとキッチン、そして洗濯物を干すバルコニーを最短距離のストレートで結んでいます。バルコニーには壁があるため、外からの視線を気にすることなく洗濯物を干すことができます」。

2階に上がり、その視界の良さ、空間の伸びやかさに思わず感嘆の声を上げる来場者も少なくないと遠藤氏。
「階段を上がった先は大きな開口部があります。2階はとにかく開放的です。振り返った瞬間にLDKと眺望が広がっている、このようなちょっとした仕掛けも、驚きや感動、豊かさを生み出すポイントです。そんな素敵な要素を形にして、これからもお客様に喜んでいただけるように努力を続けたいと考えています」。

※1:一端が固定端、他端が自由端とされた構造体のこと。柱がなく2階が浮いたように見えるのが特徴

技術商品開発部 デザインチーム 遠藤英雄

技術商品開発部 デザインチーム 遠藤英雄

デザインコンペにて最優秀賞を獲得。その高いデザイン・設計力が評価され、建築デザイン室を経て、技術商品開発部・デザインチームへ配属となる。
設計をするうえで大切にしていることは、お客様の思いをしっかりと聞きだすこと。決して自分よがりな提案になることなく、要望をできる限り実現するアイデアを組み入れることに注力している。モダニズム建築の旗手、谷口吉生(たにぐち よしお)氏や堀部安嗣(ほりべ やすし)氏に大きな影響を受ける。

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