Interview | プロダクトコンセプト

Archi01(アーキワン)

空間全体が調和され、美しく素敵に輝く
建築家の視点から生まれた
新しいキッチンの形

建築家 窪田勝文

シンプルさを求める建築家が、手にしたい逸品を

オートクチュールキッチンを提供し、豊かなオンリーワンの暮らしづくりのお手伝いを行うキッチンハウス。世界でたったひとつのオリジナルキッチンを生み出してきた同社が、2013年2月、新しい取り組み・製品を発表した。それが建築家・窪田勝文氏によるプロダクトキッチン「Archi01(アーキワン)」だ。この装飾をできる限りそぎ落としたシンプルで美しいいでたちのキッチンが誕生した背景やそこに秘められた思い、そしてこだわりなどを、窪田氏に語っていただいた。

「キッチンハウスは、カスタムメイドのキッチンメーカーですから、どんなものでも実現できる強みはあります。しかしながら、逆に言えば建築家たちが、「これだ。このまま使いたい」というプロダクトを持ち合わせていない。そういうキッチンづくりにチャレンジしてみたいという相談を同社から2011年頃に受けたのが事の始まりです。デザイナー的な感覚でいえば、プロダクツをつくる際に考えるのは、『どうすれば多くの人の視覚や感性の中に入り込み、喜ばれるか』ということになります。しかしながら、キッチンはもちろん重要なものではありますが、住まいを構成するひとつの要素にしか過ぎません。建築家が住まいづくりにおいて考えるのは、“空間を生かす”ということです。キッチンメーカーは、それ単体で考えていますから、より見栄えのいい個性的なものやデコラティブなものを開発・発表しますが、空間のトータルコンビネーションを考えたとき、そういった華美なものは主張しすぎてマッチしないケースが多いのです。建築家として採用したいと思えるプロダクトキッチンはなかなか存在しない。それが当時の私の正直な気持ちでした」。

現在の大多数の建築家が、住宅をつくるときに“シンプルであること”を大切にし、プランニングしている。つまりデザイン的に個性の強いキッチンは、彼らの住まいづくりにはそぐわないのだ。
「ならばカスタムメイドでつくればいいわけですが、丸きりゼロから建築家がキッチンを考えるのは、とても難しいし、特に男性の場合はそこに説得力が伴わない。そこで今回のプロジェクトを進める中で、どんな空間であっても邪魔しないシンプルなデザイン、ベーシックなデザインのプロダクトキッチンがあれば、多くの建築家に喜ばれるだろうと考えたわけです」。

リビングやダイニングの中で主張し過ぎず、輝くこと

エバルト(高圧メラミン樹脂)で成形されたベースキャビネットは、天板を標準的な厚さ40mmから9mmへと薄くし、底目地を切って軽やかさを演出。背面にはジョイント部のラインが現れないようにし、コーナー部も留め加工にほぼ近い一体感のある美しさを生み出した。またカランにはヤコブセンデザインのVola社製(GROHE社製も選択可)をチョイス。カラーもホワイトにグレー、ヴェンゲ、ブラウン、ナチュラルなど、どんな空間にも溶け込むモノトーン色をラインナップとした「Archi01」。

「デザインを追求する中で、何度もキッチンハウスの技術陣と検討・検証を繰り返しました。もちろんキッチンとしての機能性については提案をもらいましたが、カランなどは、私がデザイン性の純度の高いものをチョイスしました。たとえばVolaは、ヤコブセンが何十年も前にデザインしたものですが、今も変わらずに支持され続けています。それはなぜかと言えば、デザインに普遍性があるからにほかなりません。これこそが私がベーシックラインにVolaを存在させる理由であり、証明となり得るものなのです。またカラーについてですが、シンプルな空間づくりをする際には、比較的、白の壁を用いることが多いもの。そこでホワイトとグレーは、それぞれ2種類の微妙に異なるバリエーションを用意しました。空間との親和性を建築家の目で徹底的に追求しています」。

発表以来、建築家から大きな反響と評価が集まっている「Archi01」は、2014年の春には、マイナーチェンジを施す予定だそうだ。これまでに寄せられた要望をもとに、海外製のクックトップへの対応などオプション領域を広げていくという。また秋には、キッチンハウスの福岡ショールームがリニューアル。窪田氏の設計によるショールームは、キッチンが持つ本来の力や意味というものが感性に響きわたってくる素敵な空間として、装いを新たにスタートする。

「20年前は、キッチンは閉ざされた空間の中にありました。だからデザインは、使う人だけが気に入るものでよかったわけです。しかしキッチンがリビングやダイニングと一体になった今、Archi01のコンセプトは、ますます豊かな暮らしづくりにとって存在感を増していくことでしょう。私は、そう確信しています」。