Interview

Klass Desingにはブランドが厳選した作品の美しい写真が多数収蔵されており、その優れたデザインから様々なメッセージを発信しています。
このコーナーでは、設計や開発の裏側を深く掘り下げて、素材やディテールへのこだわり、お客様とのエピソードなどを設計者、開発者の言葉で語っていただきます。

Design & Material

普遍的なデザイン、伝統的な素材など「日本の邸宅」を演出する作品の数々をご紹介します。

Review | 名建築を訪ねて 建築家・新堀和巳の考察

建築物に秘められた美しさ、上質さその背景にある理由を紐解いていく
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CASE.11 真岡市久保講堂

設計:遠藤新

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CASE.10 イタリア大使館別荘

設計:アントニオ・レーモンド

私がこれまで携わってきた建築物や世の中にある有名建築物を見ながら、素材の在り方とはどういうものなのか、デザインを考えるにあたってのポイントとなる部分はどこなのかなどを、私なりの考えで解説・ご紹介したいと思います。
まずその前に、私が考える“上質な建物にあるべき条件”をお伝えしましょう。それは3つの要素からなります。
「素材」「環境」「見切り」です。
この3つの要素を主な切り口にして、さまざまな建築物を見ていきたいと思います。

  • 素材=光

    素材を選ぶとき、木や石という”材料”を考えがちですが、重要なのは、材料が持つ光の拡散をどう捉えるかということにあります。たとえば漆喰は乱反射が強く、光が細かくなります。つまり「どのように目に映るか」を考えることが、その空間にあった素材選びにおいて大切なのです。色よりも、まず素材表面の粒子がどうなのか、それが空間全体と合っているのかを考察することで、バランスが良く、心地いい空間が生まれます。素材=光、と考えるといいでしょう。

  • 環境=風

    次に環境ですが、まさにその言葉の通り、建物がどんな環境の中に建つのかを考えることが大切となります。四季がどのように移ろい、どのような風が流れているのかを調べ、設計に生かすのです。また建物は経年変化しますから、その変化する建物に一番馴染む素材を選び抜くことも重要。最適なのは地元で採れるものになります。地元の木や石を用いてつくられた建物は、長い年月の中でその土地にしっくりと馴染み、ひとつの風景のような味わいが出るものです。私は、環境=風、と捉えています。

  • 見切り=時間

    最後に見切りです。見切りとは、構造物あるいは、材料などの最終端のおさまり具合いのこと。私が若い頃、恩師によく言われましたのが、“開口部の見切り”“地面と壁の見切り”“屋根と空の見切り”の3つの見切りを大切にすることです。そこを考えて、考えて、考え抜くことで建物は必ずきれいになるのです。朝、昼、夜によって見切りの見え方は変わってきますから、見切り=時間、といえるのではないでしょうか。