アプローチ側のファサード。
Concept
<光と影を調節することで生まれる、暮らしの豊かさ>  コンクリートの打ち放しで構成されたK邸は、床にはウリン材やブラックウォールナットを採用し、キッチン・ダイニングには大谷石を積み上げるなど、それぞれに強い個性を持つ素材を大胆に組み合わせている。しかしながらK邸は、個性がぶつかり合うことなく見事に融合し、モダンでありながら、どこかやさしい雰囲気を醸し出しているのだ。 「これらの素材は、オーナーが独身時代に暮らしたデザイナーズマンションで用いられていたものだそう。いわば人生という歴史の中の“原風景”なのですね。私は住まいを設計する時、与えられた情報や要望を変にこねくり回さず、オーナーや建物が建つ土地が積み重ねてきた歴史や時間というものから感じる、素直なインスピレーションを私は大切にしています」。 K邸は、しっとりとした心地よい時間を愉しめるように、光と影も十分に計算されてつくられている。2階のガレージに設えられたグレーチングからこぼれ落ちる光は、1階のドライエリアを幻想的な雰囲気に仕立て上げ、廊下の横には、そっと寄り添うように和室が控える。窓からは気持ちのよい風が流れ、それが上階へと抜けていき、爽やかで快適な住環境を生み出してくれる。
Designer
小山 信行
kobori 研築工房/SxL
小堀の住まい設計工房
「施主さまが言葉で表現されるのはごく一部。大切なのは、言葉に出てこない「真の思い」をどれだけ読み取れるかです。」

建築家としていつも心がけているのは、施主様の「真の思い」を読み取るということ。
建築のアマチュアである施主様が言葉で表現できるのは、思いのごく一部にすぎない。だから、プロはそこから深く掘り下げて「真の思い」を読み取らなければならないと思う。
戦後、日本の建築は大切なものを置き去りにしてきた。四季の風情。世代を超えて人々が継承してきた様々な文化。
それらを大事にして、次の世代につないでいくこと。日本に住んで日本で家を建てる建築家の責任はそこにある。